株主が行方不明になったら?

1.なぜ株主が行方不明になるのか?
株主の中には、住所が分からず連絡がつかない人がいるかもしれません。はじめは、住所や氏名を把握していたものの、長い年月が経過する間に住所が変更になったり、氏名が変わったりするケースがあります。その場合、当該株主が変更内容を会社に連絡してくれればよいのですが、そうでない場合は、会社はそれに気づかず、連絡がつかなくなってしまったということは十分考えられます。
また、株主が死亡して相続が発生しているため、誰が株主となったのか分からない(相続人が誰なのか、遺産分割協議がされたのか、事情が分からない。)ケースもあります。
本来、株式会社は、1年に1回は定時株主総会を開催する必要があるため、株主に対して株主総会の招集通知を発送したり、委任状の送付を受けたりして、株主と定期的に連絡をとっているはずです。しかしながら、特に中小企業や同族企業においては、経営者が株式の大半を保有していることから、株主に対して招集通知の発送をしておらず、議事録だけを作成している会社もあると思います。これを改め、株主に対してはきちんと招集通知を発送するなどして、少なくとも1年に1回は株主の現状を把握することが重要です。

 

2.行方不明株主への対応はどうしたらよい?
株主が行方不明になったからといって、会社や経営者が勝手に当該株主の株式を売却することはできません。当該株式を処分するには、一定の手続きをとる必要があります。
会社法第196条1項によると、「株式会社が株主に対してする通知又は催告が5年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知又は催告をすることを要しない」と規定されています。この規定により、通知又は催告をすることを要しないとされたもの及びその株式の株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しなかったもの、いずれにも該当する場合には、当該株式を競売し、その代金を株主に交付することができます(会社法第197条1項)。
これらの要件を満たす場合には、当該株式を処分・換価することができるわけですが、原則として競売によることとされています。例外として、競売以外でも、市場価格のある株式についてはその価格をもって売却することができますし、市場価格のない株式であっても裁判所の許可を得ることによって競売以外の方法でも売却できます(会社法第197条2項)。

 

3.行方不明株主を出さないために
以上のような手続きのほかにも、不在者財産管理人を選任したり、株主の相続人がいないときには相続財産管理人を選任したりする方法もありますが、いずれも裁判所の関与が必要です。やはり、株主名簿をきちんと整備して、少なくとも毎年の定時株主総会の時期に定期的に見直しを行うことが重要だと考えます。

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