株式の名義人が亡くなっていたら?

1.株式の相続って?
身近な人がお亡くなりになられた場合、まず思い浮かぶのは預貯金や不動産の相続だと思います。それでは、会社の株式を所有していた場合は、どうなるでしょうか?
株式の相続は、株式に関する権利の包括的な承継です。相続人は当然に被相続人の株式に関する全ての権利義務を承継し、相続人は被相続人の株主たる地位を承継します。そのため、株式の譲渡について会社の承認を必要とする旨の定めがある会社であっても、相続の場合の名義書換には会社の承諾は不要です。
注意すべき点は、相続人が複数の場合で、遺言書がなければ、株式は法定相続分で相続されるのではなく、相続人全員の準共有状態になると考えられています。その場合、相続人間で遺産分割協議が整い、株式を相続する人が決まってからでないと株主としての権利行使はできません。ただし、遺産分割協議に時間が掛かりそうな場合は、相続人間の多数決で権利行使者を決め、会社に通知の上、株主権の一部を行使することができます。
したがって、会社も株主に相続が発生した時は、相続人から戸籍等の相続人を確定する書類や遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付)等を確認の上、名義書換手続をする必要があります。

 

2.相続人は会社に対し何をすればいいの?
会社には株主に相続が生じたという事情は、関知できないこともありますので、相続人の方から会社に対し株主名簿を書き換えてもらうよう請求(若しくは、前述の権利行使者の通知)をしなければなりません。
会社の通知や催告が相続人に到達しなければ株主としての権利行使の機会を失うことになりますのでご注意ください。

 

3.相続人に対する株式の売渡請求とは?
1.で記載したように、会社にとっては好ましくない方が株式を相続した場合でも、会社は名義書換を拒否できません。そこで、会社法では、株式会社は相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対して、「当該株式を当該会社に売り渡すことを請求することができる」旨を定款で定めることにより、相続人から当該株式を取得することが可能です(会社法第174条)。

 

4.経営者が所有している株式について
中小企業の社長様は会社の経営と所有両方をされていることが多いです。社長様が所有されている株式が相続により分散されてしまうと会社の経営が立ち行かなくなることもあります。誰に相続させるか遺言をしておく、無議決権株式等種類株式発行会社とする、信託を利用して議決権の行使と剰余金の配当を受ける人を別にする、中小企業経営承継円滑化法を利用した事業承継を考える、定款を変更して自己株式取得の際の売主追加請求権排除の定めを設け相続人の納税資金の確保、税制特例の利用を図る等早めの対策が肝要です。

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