グローバル社会に伴う相続問題

 

 ~海外に預金口座を持っておられる方はご注意を!~

当法人の名称に「国際」を入れているのは、比較的外国にまつわる案件が多いからです。外国人が日本で会社を設立したい、日本で働くためのビザ(正確には「在留資格」)を取りたいという案件もありますが、意外に多いのは相続が発生した時に相続人の中に外国籍(元日本人の方を含む)の方や海外在住の方がおられるケースです。これは、最近国際結婚が増えたからだけではありません。明治維新以降戦後まで続いた日本の移民政策に基づくものも多くあります。ですから、近年の問題でも、都会に多い問題でもありません。

 

相続登記(いわゆる、名義の書換え)には遺言書がない場合、相続人全員の署名捺印(実印)と印鑑証明書が必要となります。例えば、日系1世の方が亡くなられている場合、その相続人(2世)全員の、さらに2世の方も亡くなられていると3世の方のものが必要となってきます。不動産は、相続登記をせずに亡くなられた方の名義のまま売却したり、銀行の担保を付けたりすることはできません。

 

2年前にご依頼頂いたAさんの件は、和歌山のご自宅が、明治28年に購入した高祖父Bの名義のままで、四代に亘って相続登記ができず困っているというものでした。家督相続した曾祖父Cは戦前に米国へ渡り、米国籍を取得していました。Cの相続人調査のため、C夫婦の死亡証明書を取り寄せ、米国の仏教会から過去帳の写しや葬儀の参列者の記載がある新聞記事を頂きました。34年も前の資料で、入手できるまで郵便やメールのやり取りに半年要しました。韓国、台湾以外は戸籍制度がないので家族関係の証明が困難です。

 

また、Cの場合、米国法により不動産所在地の相続法を適用すればよいので日本法によって処理できましたが、韓国人であれば韓国の相続法によって処理しなければならず、亡くなられた方の国籍により外国法の調査が必要になります。従って、国際結婚をされている方は相続手続に思わぬ時間と費用がかかることがあります。

 

日本人でも安心はできません。海外で不動産、特許、預金口座等資産を持っている方がお亡くなりになられると相続手続が大変です。海外ではほとんどの場合、日本の相続法は適用されません。米国にある預金は米国の州法に則り手続が進められます。「200万円の預金の取り戻しのために60万円の弁護士費用が掛かった。」「バブルの時、亡父が買わされたハワイのコンドミディアムは、年間維持管理費が高額なので、処分しようとしたら、前提の相続手続が売却代金よりはるかに高かった。」という例もあります。

 

いずれのケースも遺言書があれば手続の煩雑さが随分緩和されます。配偶者や推定相続人が外国籍の場合、海外に資産がある場合は遺言書を書いておかれることを強くお勧めします。相続登記ができずにお困りの方、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。

 

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