民法(相続法)改正-自筆証書遺言の方式の緩和-

1.改正民法(相続法)が成立しました

 民法の中の相続法は、人が死亡したときの財産の承継に関するルールを定めた法律です。今般、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に対応するため、相続法の改正作業が進められてきましたが、平成30年7月6日、相続法の改正案が参議院で可決・成立しました。
 

2.自筆証書遺言の方式が緩和されます

 自筆証書遺言は、遺言者本人が作成できる遺言で、費用もかからず、手軽に作成できる反面、民法で方式が厳格に規定されており、作成した遺言書が民法の方式に違反すると遺言自体が無効になる危険性があります。しかし、それでは遺言者の最終意思が遺言に反映されないことになるため、遺言の利用を促進するために、自筆証書遺言の方式が緩和されることになりました。
 
 
3.自書を要求する範囲の緩和
 
 改正前の民法では、自筆証書遺言は、全文、日付及び氏名を全て自書しなければなりません。パソコンで作成したり、家族に頼んで代わりに作成してもらうことはできません。しかし、高齢者にとって、これら全てを自書することは大変な労力を要する作業ですし、病気や障がいで自書することが困難なケースもありえます。このようなケースでは、公正証書遺言を利用することができますが、手間と費用がかかる点がデメリットになります。
 そこで、全文自書の要件を緩和し、相続財産を特定する事項については、自書でなくてもよいことになりました。
 改正後は、不動産や預貯金といった相続財産を特定した目録を作成する場合、当該目録についてはパソコン等を使って作成することも可能になります。自書によらずに財産目録を作成した場合は、当該目録の全てのページに遺言者の署名及び捺印が必要になります。
 

4.自筆証書遺言の保管制度の創設

 自筆証書遺言のデメリットとして、せっかく作成しても遺言書を紛失したり、遺言書の存在を知った一部の相続人によって隠匿又は変造されるおそれがあります。また、被相続人が遺言書を作成していたとしても、相続人がその存在に気付かずに、遺言書がないものとして遺産分割協議を進めてしまう可能性もあります。
 そこで、自筆証書遺言を確実に保管し、相続人が遺言書の存在を把握しやすくするために、自筆証書遺言を公的機関で保管する制度が検討され、利便性の観点から全国に相当数設置されている法務局が、保管に関する事務を取り扱うことになりました。
 法務局に対して自筆証書遺言の保管を申し出る場合は、偽造等を防止する観点から、遺言者本人のみが行うことができます。
 また、遺言者死亡後においては、相続人や受遺者、遺言執行者等から、法務局に保管されている遺言書に関する証明書の交付請求ができる制度なども盛り込まれました。
 さらに、現行民法では、自筆証書遺言の保管者は、相続開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所の検認を受けなければなりません。しかし、改正後は、法務局で保管された自筆証書遺言については、法務局においてある程度の方式審査を行っていることや相続人が遺言書の存在を知る機会を確保していることから、家庭裁判所の検認は不要になります。

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