渉外相続と登記~家族が外国に住んでいるor外国籍になっている場合どうしたらいいの?~

 最近、渉外登記のご相談が増えてきました。
 商業登記では外国人による会社設立が増えてきました。不動産登記においても相続や売買で渉外登記が増えてきました。この半年を見ても、私が携わった渉外案件はかなりの数に上ります。今や国際結婚や海外居住は珍しくない時代ですので、ご親族の中に海外居住の方や外国籍の方がいらっしゃることも少なくないでしょう。
 では、渉外登記の中でも渉外相続登記の手続は、通常の相続登記とどう違うのでしょうか?
 
例えば、亡くなられた方の相続人が、①日本国籍ですが海外居住していた、とか、②既に日本国籍を離脱し外国籍を取得されている、という場合です。不動産の相続登記を申請する際、原則として相続人を確定するための戸籍や除籍、遺産分割の内容を証する協議書(相続人全員の印鑑証明書付、ただし遺産分割協議により誰が不動産を取得するか決める場合)、不動産を取得される方の住民票を添付します。
 しかし、①の場合のように、相続人が海外に居住されている場合、現地の日本大使館又は領事館(「在外公館」といいます。)で印鑑登録をし、印鑑証明書の交付を受けることができるところもありますが、印鑑証明書の交付が得られないところもあります。そのような場合には、在外公館で署名証明や在留証明を発行してもらい、登記申請書に添付します。
 
Q1:署名証明とは?
A1:海外に居住している日本人は、印鑑証明を取得することが難しいので、在外公館で印鑑証明書に代えて署名証明書を取得することができます。これは、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。証明の方法は2種類あり、申請者が領事の面前で署名した私文書(例えば遺産分割協議書)と在外公館が発行する証明書を合綴したものと、申請者の署名を単独で証明するものがあります。両方とも印鑑証明に代わるものとして不動産登記に使用することができます。署名の照合が困難な場合もありますので、前者の方法をお勧めしております。
 
Q2:遺産分割協議書は相続人全員が一枚の用紙に署名・捺印(実印)をしなければならないのではないですか?
A2:家族が皆遠方に住んでおり、手間隙がかかる場合には、同一内容の協議書を各相続人ごとに作成し、これに各相続人が署名捺印することで協議が成立した、とすることができます。従って、海外居住の方のみの署名がある遺産分割協議書に署名証明を受けたものも有効です。
 
Q3:居住地と在外公館まで遠く、費用・時間がかかる場合、別の方法はありませんか?
A3:在外公館は数多く存在しないので、居住地の公証人(notary public)に自分のサインを証明してもらい、それを印鑑証明書に代えることができます。
 
Q4:在留証明書とはなんですか?
A4:在留証明書とは海外居住の日本人が現在どこに住所を有しているか、あるいは過去どこに住所を有していたかをその地を管轄する在外公館が証明するものです。遺産分割協議書において海外に居住されている相続人が不動産を取得される場合、その方の住所と氏名が登記事項となりますので、住所を証する書面が必要ですが、この在留証明書も住所を証する書面として使用することができます。
 
Q5:在留証明書や署名証明書は日本国籍を離脱した人に対しても発行されるの?発行されるとしたらどのような方法があるの?
A5:原則として両方とも日本国籍を有している方のみ申請できるもので、既に日本国籍を離脱された方に対してはできません。ただし、例外的に在留証明の代わりに居住証明で対応してもらえる場合があります。内容によっては対応できない場合があるので、在外公館にお問い合わせください。
 署名証明書は発効してもらうことはできませんから、居住地の公証人(notary public)に自分のサインを証明してもらい、それを印鑑証明書に代えることができます。韓国や台湾のように印鑑証明書を発行する国もあります。
 
Q6:海外居住の方が一時帰国している場合、日本に住所がないので日本で住民票や印鑑証明書を取得できません。その場合はどうしたらいいですか?
A6:お近くの日本の公証役場で私署証書の認証をしてもらうことによりそれらに代えることができます。委任状や遺産分割協議書の署名を公証人に認証してもらうことにより登記申請することができます。
 
このように、日本では簡単に取得できる書類が海外では取得が難しい場合がありますので、それに代わる書類を取得頂き登記申請しています。国により手続きが異なる場合がございますので、お気軽にご相談ください。

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