民法改正Part2 

■改正民法が可決

 平成29年5月26日、参議院本会議で改正民法が可決、成立しました。3年以内に施行される予定です。
 
(3)-賃貸借契約-
 
1.賃貸借契約の存続期間が伸長されます

 現行の民法では、賃貸借契約の存続期間は20年を超えることができません。また、契約を更新する場合でも、更新後の期間は20年を超えることはできませんでした。例外的に、建物の所有を目的とした土地の賃貸借(借地権)については、借地借家法で存続期間は30年以上とされています。
しかし、現代では、ゴルフ場の敷地や太陽光発電設備を設置するための土地の賃貸借など、建物所有を目的としない土地の賃貸借について、20年を超える長期の契約期間を求めるニーズがありました。
そこで、改正民法では、存続期間を50年に延長し、長期の賃貸借契約が可能になりました。ただし、50年を超える契約期間を認めると、貸主に過度の負担になるおそれがあるため、存続期間は50年を超えることができないと規定されます。50年以上の契約期間を希望する場合は、契約を更新して対応することになります。
 
2.敷金が法律に明記されます

敷金とは、賃貸借契約に関する借主の債務(賃料債務など)を担保する目的で、借主が貸主に対して交付する金銭をいいます。しかし、現行の民法には敷金に関する規定はなく、判例によって取扱いが確立されてきました。そこで、改正民法では、敷金の定義や返還時期を明確に規定しました。  
改正民法では、敷金の定義として、名目を問わず、賃貸借に基づいて生じる借主の貸主に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、借主が貸主に交付する金銭とされています。
また、敷金返還の時期については、賃貸借契約が終了するだけでなく、貸主が借主から目的物の返還を受けたときに、借主の未払い債務を控除した残額を返還しなければならないと規定されています。
また、借主Aが適法に賃借権をBに譲渡した場合、特段の事情のない限り、Aの差し入れた敷金は新借主Bに承継されず、貸主は借主Aに対して、敷金を精算することになります。
これらは、判例の見解が明文化されたものです。
 
3.原状回復義務が具体的に規定されます

 現行の民法にも、賃貸借契約が終了したときの原状回復義務に関する規定は存在します。しかし、改正民法では、判例の見解を明文化し、より具体的に明記されるようになります。
 改正民法では、借主は、賃借物を受け取った後に生じた損傷がある場合、賃貸借契約が終了したときにその損傷を原状に復する義務(原状回復義務)を負います。しかし、原状回復義務を負う範囲について争いになることがあり、通常の使用をした場合に生じる通常損耗や経年変化については原状回復義務から除外される旨が明文化されました。これも判例の見解が盛り込まれたものですが、通常損耗や経年劣化の費用については、あらかじめ賃料の中に含ませて回収していると考えられ、原則として貸主が負担することになります。
 また、借主の責めに帰すことができない事由によって生じた損傷についても、同様に原状回復義務から除外されています。
  
4.適用範囲に注意

 改正民法が施行されたとしても、すでに締結済みの賃貸借契約にそのまま適用されるわけではありません。
 改正民法の附則では、施行日前に賃貸借契約が締結された場合、この契約についてはなお従前の例によると規定されていますので注意が必要です。ただし、施行日前に契約が締結されていても、施行日以後に契約更新の合意をする場合は、50年を超えない期間で更新することができます。
 
(4)-消滅時効-
 
1.時効期間はどう変わったのか?
 人にお金を貸して返済を請求する権利は、一定の時間を過ぎてしまうと借主が拒否すれば支払ってもらえません。請求せずに放置していた方が悪いという考えからです。これを「消滅時効」といいます。
 現行民法においては消滅時効の期間は、原則として権利を行使できるときから10年間ですが、建物工事の工事代金などは3年、ピアノ教室などの月謝は2年、レンタルCD店のレンタル料は1年と、債権の種類により異なっていました。
 しかし、このような細かい分け方は複雑で分かりにくいことから新しい民法では、「権利を行使することができることを知ったときから5年間」「権利を行使することができるときから10年間」に一本化されました。
 ただ、「人の生命・身体に対する損害賠償については20年間」と長期化する特則があります。被害者である債権者の保護の必要性が高いということからです。
 
2.時効の完成をストップする「時効の更新、時効の完成猶予」
 請求せずに放置していると消滅時効にかかりますが、それでは、債権者としてすべきことをすればどうなるでしょうか?
時効はストップします!!これを現行民法では、「時効の中断」と言います。中断という言葉からは再開すればストップしたところから再び始まる感じがしますが、そうではなく、時効が中断すれば時効期間はリセットされます。こうした法律用語の分かりにくさを解消するために、新民法では時効の中断を「時効の更新」と改めました。「時効の更新」は時効期間のリセットです。
 また、現行民法では時効停止事由の終了後、法定の期間が経過するまで時効の完成を猶予することを「時効の停止」と呼んでいまが、新民法では時効の停止を「時効の完成猶予」と改めました。
 
3.新たな制度「合意による完成猶予」
 債権者が債務者と協議している間は、時効完成が猶予される制度ができました。
 時効の完成が猶予されるためには、「協議を行う旨の合意」があればよく、実際に協議が行われることまでは必要ありませんが、書面で合意がなされることが必要です。
 完成猶予の期間は1回の書面のやりとりで最長1年まで認められます。1年の期間が満了する前に再度協議する旨の書面を作成することは可能ですが、完成猶予の期間はトータル5年間までです。
  
4.時効の援用
 時効期間が過ぎたからといっても、直ちに権利が消滅するわけではありません。債務者が時効を主張しないかぎり、権利は消滅しません。この主張を「時効の援用」と言います。
 では、債権者への援用方法はどうすればいいでしょうか?
 特に法律では援用の方法は規定されていません。しかし、配達証明書付の内容証明郵便で援用する方法が、証拠として残るためお勧めをしています。 

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