日本の公文書を外国の機関に提出するには

 

もし貴方が外国の役所や会社等から、「日本の役所等が発行した証明書等が真正なものであることを公的に証明してもらって下さい。」と言われたらどうしたらいいのでしょうか?

 

日本と外国では制度も違い言語も違いますので相手の国の官憲に信じてもらうためには面倒な手順を踏まないといけないのです。例えば、タイの不動産を大阪の会社が購入する場合、会社が日本の国内法に基づいて適法に存在していることを証明するため日本の大阪法務局が発行した登記事項証明書(登記簿謄本)をタイで提出する必要があります。

 

ところが、この登記事項証明書が真正なものであることをタイの官憲に納得させるためには、

(1)その登記事項証明書の最後に押してある登記官の印影が真正なものであることを、大阪法務局の局長に認証してもらいます。

(2)次に、この大阪法務局長の認証印が真正なものであることを外務省の大阪分室で認証してもらいます。

(3)最後に、外務省の大阪分室の担当官のサインが真正なものであることをタイ王国大阪総領事館で認証してもらいます。

 

以上3つの認証文書を合綴したものを示して、初めてタイの官憲はこの登記事項証明書を真正なものと認めてくれるのです。

 

ところで、タイで不動産を購入するためにはその会社の代表者が現地の法律家に対して必要な法的手続きを進めてくれるよう依頼する委任状を提出する必要があります。その際、この委任状の署名者に会社を代表する権限があることを印鑑証明書を添付して証明します。

 

また、日本語で作成された委任状では現地の法律家は動けませんので現地の言葉に翻訳された委任状をつける必要があります。その際、この翻訳が正しいことを証明するにはどうしたらいいのでしょう。

 

それは、「翻訳者が日本語と翻訳語の言語に精通する人物であり、準備された日本語の文書について用意した翻訳文書が内容的に正しい」ということを翻訳者自らが公証人の面前で宣誓し、その宣誓の事実があったことについて公証人の認証を受けることにより可能となります。

なお、印鑑証明書及び公証人の公印は法務局長が真正なものであることを証明できますので、登記事項証明書の際と同じ手順を踏んでタイの官憲や法律家を納得させることができるのです。

 

注意すべき点は、上記の例で相手国がタイではなく米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、香港等、ハーグ条約(認証不要条約)に加盟している国(地域)の場合には、使用しようとする公文書に外務省においてアポスティーユ(付箋による証明)の付与が行われれば、上記(3)のステップは必要がなくなります。すなわち、アポスティーユが我が国の外務省で付与されていれば駐日領事による認証はなくとも、駐日領事の認証があるものと同等のものとして、提出先国(地域)で使用することが可能になるのです。

 

日本の企業が外国の企業と合弁会社を設立する時、日本人が海外に持っている不動産・特許等について相続が発生し外国の裁判所に対し自分が相続人であることを証明しなければならない時、外国人と婚姻する時、外国の大学に入学する時等々の場面で、登記事項証明書、戸籍謄本、婚姻要件具備証明書、卒業証明書等々に対して以上のような手続きが必要となることがあります。外国での入学や就職、結婚、相続、契約といった場面に遭遇された場合には遠慮なく当事務所にご相談下さい。

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